IBを振り返る

『今日の君たちの発表は、事業課題への深い理解と現場の声に基づき、我々の想定を越えた価値ある提案だった。しかし、最後の数週間、チーム内で適切な合意形成をできなかったことが、プレゼンテーションに滲み出てしまっている。これは、君たちがこのプロジェクトで犯した最大のミステイクだ。』

Class of 2015のMitsuです。冒頭の文章は、International Business Project(通称IB)の最終プレゼンテーションの場で、私たちのチームがクライアントの役員からもらったコメントです。今日は、3ヶ月間にわたるIBでの経験や学び、そして私自身が思うその魅力についてお伝えしたいと思います。

■参考動画:Full-time MBA: International Business Project

マンチェスタービジネススクール(MBS)は、設立当初からProject-Based Learningをカリキュラムの核としてきました。私の場合、期間中15のプロジェクトに、計20か国の同僚と取り組みました。そのうちの3つを占める企業へのコンサルティングプロジェクトの中でも、クライアントや予算の規模が最も大きいIBは、それまでに学んだ知識やスキルを総動員しての、いわば卒業試験のような位置付けにあります。

 

近年は、コンサルティングに加えて、起業プログラムや大学の壁を越えたビジネスプランコンテスト、開発途上国でのフィールドワークなど、座学にとどまらない学びの機会が世界中の多くのビジネススクールで導入されています。その中でもMBSは、大学主導でプロジェクトを企業から受注し、それに取り組む学生たちが実践の場を通して成長することを重視しています。学生の多くはコンサルティング未経験ですが、プロジェクトの成果物の品質はMBS自身の評判に直結するため、教授陣(スーパーバイザー)からは高い緊張感をもって臨むことが求められます。

 

私を含む学生5名のチームが取り組んだプロジェクトは、グローバル物流企業をクライアントとして、彼らの新興国における事業拡大を見据え、現地のパートナー企業との事業連携のあり方をどのように変えていくべきかを提案するものでした。クライアントチームのみならず、パートナー企業やその顧客の声も踏まえた上での提案とするため、合計4大陸9か国で103のインタビューを行うダイナミックなプロジェクトになりました。

 

当初、プロジェクトは比較的順調に進んでいました。自分たちだからこそ提供できる価値は何かを徹底的に議論し、応用できそうな他業界の事例や、競合の戦略などの視点を交えた中間報告は、スーパーバイザーからもよい評価を受けていました。チームの雰囲気もよく、惜しみなく情報提供をしてくれるクライアントの高い期待に応えようと、試行錯誤を繰り返す日々でした。

 

しかし、残り3週間を切ったあたりから、徐々にチームの歯車が狂いはじめました。一人ひとりが異なる国の異なるマーケットで、異なる顧客の声をもとに仮説を検証してきたことも影響し、最終提案の方向性がチーム内で大きく分かれました。メンバー間の関係は引き続き良好でしたが、お互いが異なる経験に根ざしてものを言っているのだと認識し、腹落ちをするまでに一定の時間がかかりました。

 

経営環境分析をやり直し、現場の声をさらに拾い集め、複数の観点から二つの提案を比較評価して、何とか合意形成を図ろうとしました。しかし、最後の1週間、疲労や制限時間のプレッシャー、そしておそらくここまでやってきた想いや意地のようなものが、冷静な意思決定を妨げました。その結果が、冒頭のクライアントの言葉です。最後の最後で、私たちのチームは顧客ファーストの視点を失い、大きな失敗をしました。

 

成果物の評価方法を曖昧にしていたこと、チーム内の意思決定ルールの必要性を軽く見ていたことが、大きな反省であり、学びです。また、チームだけではどうにもならなくなったとき、もっとスーパーバイザーやクライアント、他のチームの同僚の力を借りられたのでは、という反省もあります。総じて、国籍や専門性など多様性の高いチームで仕事をするには、まず第一にその多様さを受け入れて楽しむ姿勢、そしてそれを前提としたしくみづくりが大切だ、ということを学び続けた一年半だったと思います。

 

今回は私のケースの紹介でしたが、チームによって、また人によって考え方や感じ方は大きく違うと思います。しかし、おそらく多くのケースは華麗にスマートに・・・からはほど遠く、リアルで泥臭い場だと思いますし、またそれこそが最高の学びの教材なのだと思います。チームで成果を出すために汗をかき、そして時には失敗することを楽しめそうだと思える方は、ぜひMBSの門を叩いてみてください。応援しています!